日本刀は鉄です。手入れを怠ると研磨代がかかる他に致命的な錆びに発展する恐れもあります。ここでメンテナンス方法をご紹介します。

取り扱い上の注意とアドバイス
 
 
日本刀は良く切れます。自分が怪我をしたり人を傷つける恐れがあります。特に小さいお子様がおられるといった場合は注意が必要です。広々とした部屋で周りに物は置かないで下さい。刃が家具などに当たったりすると刃こぼれ、傷の原因になります。

 常に白鞘袋にいれて下さい。これには鞘走りを防ぐとともにカバーの役割も果たしています。保管場所には日陰で乾燥したところが向いています。押入れやタンスなどは湿気や樟脳で錆の原因になります。

  必ず白鞘に入れて保管して下さい。拵えに入れないで下さい。塗り鞘は漆によって通気性が悪いです。

  登録証や鑑定書はコピーしておくと良いと思います。紛失や盗難のさいに有効です。刀剣と常に一緒に保管となっていますが盗難対策として家の中なら登録証は刀剣とは別の場所に保管しても良いと思います。

 ベストな方法は耐火金庫に保管だと思いますが誰でも持てる物ではありませんので以上のことを注意して下さい。

こういう扱いをすると嫌われる

  1. 刃を上にしないで横にしたりして抜く。


  2. 力任せに抜こうとする。


  3. 切れ味を試そうと刃を触ろうとする。またそのような仕草の真似も駄目です。


  4. 刃を相手に向けて渡そうとする。必ず自分の方に刃を向けて渡して下さい。


  5. 刀身を持ったまま余計な私語を言う。唾が付くと錆を呼びます。時代劇で侍が紙を咥えて手入れいてますがあれで唾がつかないようにしています。

上記のようなことをされると持ち主は冷や冷やします。初めて触ると言う方は慣れてる方からよく説明を受けてから扱って下さい。

正しい抜刀の方法・・左手で鯉口あたりを掴み、右手の親指で左手の付根あたりを押して抜いて下さい。そのまま静かに刃を必ず上にして静かに刀身を抜ききって下さい。途中で止めて鑑賞は厳禁です。刀身と鞘が当たり傷が付きます。

 

分からない場合は質問して下さい。

旧来のお手入れの仕方

  1. 刀を抜くときには太刀であれ刀であっても絶対に刃を上にします。これは守って下さい。横にして抜くなどはもってのほかです。このようなことで簡単にひけ傷が入ります。左手で下から鞘を握り、右手で柄を握ります。そして静かに止めることなく鞘を払います。このとき左手の親指の付け根あたりを右手の親指でぐっと押すと簡単に抜けます。

  2. 目釘を目釘抜きで抜いて、刀をやや斜めにして左手で柄の下を持ち左手首辺りを右拳で叩きます。あまり強く叩くと短刀などでは飛び出ることがありますので加減が必要です。だんだんと緩んでくるので茎を掴んではずします。季節によってきつくなります。どうしても取れない場合は木槌と当木を使います。

  3. 棟側から拭い紙か柔らかい布で油をとります。この時、刀身に決して触れないよう細心の注意が必要です。錆の原因になります。

  4. 打ち粉を軽く刀身につけて綺麗な紙か布で拭きます。油が取れない場合は何回か繰り返します。油が完全に取れたら鑑賞します。

  5. 鑑賞が終了したら油を全体に塗ります。はばき下も忘れずにぬって下さい。注意点はあくまで薄くむらなく刀身全体に塗るということです。塗りすぎは油錆の原因になります。茎は手についた油を軽くつける程度で構いません。茎の錆は大切にして下さい。

  6. 柄に戻す時は茎を柄にいれて柄頭を軽く叩きます。収まったら目釘をいれて静かに収めます。
     

 以上が基本です。また良く鑑賞する方でしたら研ぎ上り以外は油を引かず乾拭きでも良いと思いますがその場合は常に錆びぬよう注意が必要です。また打ち粉に疑問があります。このことは下記の新お手入れの仕方に書きます。

新お手入れの仕方

 打ち粉は研ぎ石の微粉末が材料です。よって長期間使用すると研ぎがだんだんとぼやけてきます。また十分に油が除去されていない場合は油と混じって練り込むようになり痛めます。

  昔は打ち粉しかなかったので仕方のないことであったと思いますが、当方の考えは伝統は大事しかし代用品が出来た進歩した現代であえて痛みの原因となる打ち粉を使用する古来の習慣をずっと守るのはおかしいと思います。
 
  取り扱い作法は旧来と同じです。ここでは打ち粉に変わるものを紹介します。

 その名は無水エタノールです。油を除去する効果あり一回で取れます。薬局で手軽に購入できるということも良い点です。液体ですので打ち粉のように表面を痛めませんし、アルコールですのですぐに乾燥する、残ったとしても一回拭けば取れます。打ち粉の変わりに無水エタノール、一度試してみたらどうでしょうか?

注意書き
どうしても
油が取れない場合のみ使用しております。拭いてとれるような油には使用しません。

無水エタノールは純度は99.5%以上の物を使用して下さい。(これ以上の純度の物を無水エタノールと呼んでいるはずですが念の為)