日本刀が出来るまで

古い時代の鍛錬法は口伝で記録になくその奥義は不明ですので現在、伝承されていること中心で解説していきます。

鎌倉以前は刀匠みずから砂鉄を集め製鉄して刀剣を製作していたと言われています。鎌倉時代に入ると、製鉄業が興り刀匠は原料を買うようになり、分業が成立したと推測されます。

下鍛(したぎたえ)
玉鋼を加熱して3分の1ほどの厚さになるまで槌で潰し、焼入れし、細かく砕いて台鉄の上に綺麗に積みます。ちなみに台鉄も玉鋼で作られています。積んだ物に藁灰と粘土水をかけて、火床に入れ加熱します。その後、金床に置き槌で叩き、前工程を繰り返し納得いくまで鍛えます。

納得したら3人ほどで槌で打ち、伸ばし、中央を鏨で切り落とさないように切り、折り返して鍛えていきます。折り返す回数は十文字鍛えは8回、丸鍛えは15回ほど繰り返します。

上鍛(あげきたえ)
下鍛で出来た物を2枚重ねて8回ほど鍛錬して皮鉄が出来上がります。

芯鉄(しんがね)
玉鋼に包丁鉄を50%配合して12、3回十文字鍛して作ります。

素延(すのべ)
皮鉄に芯鉄を付けて延ばします。四方詰め、真三枚、真甲伏など様々な方法があり、流派で違います。

火造(ひづくり)
棒状に整えて、刃にする方を小槌で叩いて薄くします。

荒仕上(あらしあげ)
やすりなどで大体の刀の形状にします。

土取り(つちどり)
粘土に松炭、荒砥を砕いてふるいにかけたものを混ぜて焼刃土を塗り乾燥させる。これで刃文が決定されるます。

焼入れ
もっとも重要な作業で刀工の技量が試されます。精神統一が必要です。火加減を見るために夜、静寂な時を選んで行われます。刀を火床にいれて加熱し頃合をみて水中にいれ一気に冷却して焼を入れます。経験と勘がすべてです。

鍛冶押(かじおし)
荒砥で研ぎ、刃文、欠点がないか調べ納得したら反りを調整し、茎を整え目釘穴を開けます。

銘切
研ぎ師にまわし研磨が済んだあと納得いく作品であれば銘を切ります。

以上が簡単な工程の解説です。すべてが刀匠が苦心の末に生み出した日本独自の科学的にも優れた鍛錬方法です。